YouTube動画配信でお金を稼ぐ“YouTuber(ユーチューバー)”という職業に注目が集まっています。年収2億円以上を稼ぎ出したことが話題になりました。また、中学生男子のなりたい職業ランキングでも3位に入るほど世間的な知名度は高いです。
YouTuberは副業と非常に相性のいい仕事でもあります。本業とは別にYouTubeを使って月10万円を稼いでいる人は意外にも多く、やり方次第で誰にでも挑戦できる副業と言えるでしょう。
またYouTubeは動画のジャンルも多く、自分の好きな分野で投稿すればいいので初心者でも挑戦できます。
代表的なジャンルといえば…商品紹介、ゲーム実況、ミュージック、教育、メイク・ファッション、料理などなど。どうでしょう、実際にこうして抜き出してみると、自分でも出来そうなジャンルがありそうですよね?
今回はそんなYouTubeを使った副業の紹介から、実際に動画配信を始めるまでの方法をご紹介します。
まずは、YouTuberがどうやって稼いでいるのか、その収入の仕組みを説明します。
①広告収入
YouTuberは、広告収入で稼いでいます。
皆さんも経験あると思いますが、YouTubeで動画を見ようとすると、まず広告が流れます。
あの広告を皆さんのようなYouTubeのユーザーが見ることで、YouTuberにお金が入ってくるのです。
仕組みは以下のようになります。
- 企業がYouTubeにお金を支払い自社の製品の宣伝を依頼
- YouTuberは動画を投稿し、広告枠を設定する
- 視聴者が広告と動画を見る
- 動画の再生回数に応じてYouTubeはYouTuberにお金を分け与える
最近はネットが発達していますので、企業もテレビCMによる宣伝だけでなく、YouTubeでの宣伝活動も行うようになりました。
企業がYouTubeに広告宣伝料を支払い、YouTubeはその広告宣伝料をYouTuberに支払うという関係が成り立っています。
動画を見た視聴者に対し商品やサービスをPRすることで、間接的ではありますが、企業側も利益を得ています。
「はじめしゃちょー」や「ヒカキン」のようなトップユーチューバーはUUUMという事務所と契約をしており、事務所との分け前は以下のようになっています。
また、2019年6月1日~2019年11月30日では、売上高109億1900万円(前年同期比24.8%)と初の100億円台に突破!
一時の流行ではなく、確実に文化としてYoutubeを視聴する方が増えていることが伺えます。
photo by UUUM
報酬の目安を見ていただいても分かるように、YouTubeを使って稼ぐには、まず動画を配信しできるだけ沢山の人に見てもらう必要があります。視聴数が増えるほど広告観覧数が増えるため、より報酬額がアップします。
トップユーチューバーが専属契約しているアドセンス(Googleが提供しているクリック報酬型の広告)からの収益は、80%がユーチューバー、20%がUUUMの取り分になります。
このような仕組みで、YouTuberはお金を稼いでいるのです。
広告にもいくつか種類がありますので、広告の種類を説明していきます。
インストリーム広告
(引用:youtube)
インストリーム広告とは、 YouTubeで動画が再生される前や再生される途中で流れるCMのことです。
長さは数秒~数十秒程度あります。
広告はいいから早く動画が見たいと言う場合は、スキップも可能なバージョンもあります。
スキップが不可能なものもあり、それに出くわしたらCMが終わるまで待たなくてはなりません。
特にスキップが不可能なものは、視聴者に強制的にCMを見せることになるので、宣伝効果は高いとされています。
オーバーレイ広告
(引用:youtube)
オーバーレイ広告とは、 動画の下部によく出てくる広告です。
動画にかぶさって表示されるので、邪魔だと感じている方は多いはずです。
オーバーレイ広告の右上には「×」ボタンがありますので、そこをクリックすれば広告は消えます。
消そうとしたら誤って広告の部分を押してしまうミスは、誰もが経験する「YouTubeあるある」です。
スマホでネット検索していてもブラウザを覆うように広告が出ることがありますが、あれもオーバーレイ広告の一種です。
オーバーレイ広告には多様なアニメーションが使われていて、画面上を上下に移動したり拡大縮小したりする広告もあります。
オーバーレイ広告も必ず目に入るものですので、宣伝効果は高いとされています。
サイドバー広告
(引用:youtube)
サイドバー広告とは、文字通り、 画面の右上部分のサイドバーに表示される広告のことです。
動画そのものに掲載される広告ではないので、上で紹介した2つよりはクリックする可能性は低く宣伝効果も低いといえます。
広告の種類を3つ紹介してきました。
これらの広告は表示されるか、またはクリックされると収益が発生します。
動画の再生回数が多いほど、収益も増えます。
②スーパーチャット
YouTuberのメインとなる収入源は広告収入ですが、次に収入源となるのはスーパーチャットです。
スーパーチャットとは、 視聴者がYouTuberに直接寄付できる機能です。
主に生配信の時に、視聴者がコメントにお金を乗せて投稿できます。(俗に投げ銭といわれます)
YouTuberのなかには広告収入だけではやっていけない人も多いです。
動画の再生回数が多くならないと収入が増えないためです。
その点、スーパーチャットであれば、動画の再生回数は関係ありません。
魅力ある内容の生配信を行えば、そのたびに視聴者から直接お金が貰えます。
このスーパーチャットの機能を使って、月数十万程度稼いでいる強者YouTuberもいます。
例えば「かずぽこ」さんというYouTuberは、1度の配信で24万円稼いだとの情報が出ていました。
ただし、この売り上げは、YouTubeが手数料を30%天引きした後に振り込まれますので、ご留意ください。
スーパーチャットの購入はこちらのサイトから行えます。「YouTubeヘルプセンター」
YouTubeチャンネルメンバーシップとは、 月額490円で好きなYouTuberを支援できる機能です。
ユーザーは月額料金を払うことで、バッジや絵文字といった様々な特典をチャンネルから得られます。
YouTubeヘルプセンターによると、70%がチャンネル(YouTuber)の収益になり、30%がYouTubeの収入となるとのことです。
ちなみに、YouTubeチャンネルメンバーシップは、チャンネル登録者数3万人から利用することが可能です。
スーパーチャットとメンバーシップを使えば、まだ知名度は高くないYouTuberでもある程度は安定した収益を上げることができるようになりました。
④企業案件
YouTubeアドセンスに次いで有名な収益化の方法が、企業とのタイアップ動画(企業案件)です。
企業案件の報酬は、1本あたりが150万円〜、トップクラスのYouTuberだと1本あたり300〜500万円くらい入ります。
企業案件が受けられるのは、チャンネル登録者数10万人前後くらいからです。
企業は影響力のあるYouTuberに商品やサービスを体験してもらい、その対価として報酬を支払います。
例えば超人気YouTuberヒカキンさんの場合だと、文具メーカーのゼブラとコラボして、シャーペンの上に乗る企画動画を出しています。
報酬額は企業や案件、チャンネルの規模によって大きく異なります。
メーカー側はゲーム実況YouTuberには新作ゲーム、美容系YouTuberならコスメなど、ジャンルに合った案件を用意します。
⑤グッズ販売
(動画参考:YouTubeCreatorAcademy)
UUUMに所属しているYouTuberは、オリジナルTシャツなどのグッズ販売で稼いでいる人もいます。
インフルエンサーのような有名YouTuberなら、「オリジナルグッズを作った」と告知するだけで売れることもあるようです。
ファンにオリジナルグッズを着用、使用してもらうことで、宣伝効果も狙えます。
YouTubeで動画配信をした場合、だいたい10万回再生で1万円が目安になるという話をしました。と言うことはもし副業で10万円を稼ごうとすると、ざっと100万回以上の再生が必要です。
この100万回再生という数字は一見途方もない視聴数に思えます。しかし複数の動画で100万再生を目指すと考えれば、配信動画が多いほど一つの動画に対する視聴数の壁は下がっていきます。必ずしも100万再生を超えるようなヒット動画を生み出さなくても構わないのです。
複数の動画を配信するために、慣れるまでは時間と根気が必要ですが、継続して続けていけば顔出しなしで月10万円を稼ぐことは十分に可能です。
ちなみに、YouTuberのHIKAKINさんは現在(2019年12月時点)メインであるHIKAKINTVで2545本の動画を配信しております。
一番最初に投降した動画が2011年7月19日ですので約7年半経っています。
単純計算で1年で約339動画の配信という圧倒的な量が今のHIKAKINさんの人気を不動のものにしています。
では実際にYouTubeを使って副業を開始するために必要な準備を説明したいと思います。YouTubeで動画を配信する、広告を収益化するためにいくつかの手順を踏まなければいけません。
まず行わなければいけないのが、Googleアカウントの登録です。住所や年齢などいくつかの項目を記入するだけで簡単に無料登録することができます。Googleアカウントを登録することで、次の2,3の手順が可能になるため最初に行っておきましょう。
また、Googleアカウント登録をすることで、フリーメールであるGmailアドレスを作成することができます。YouTubeチャンネルを作るときに必要になるのですが、このGmailアドレスはビジネスなどに使用する人も多い信頼の高いアドレスです。そのため副業に関わらず作っておいて損はありません。
作成したGoogleアカウントを使ってYouTubeチャンネルを作成しましょう。YouTubeチャンネルには無料版と有料版があり、上級者になるとユーザーから月額課金や年額課金をしてもらう独自の有料チャンネルを作成する人もいます。動画配信初心者の方はまず無料チャンネルから始めてみましょう。
YouTubeチャンネルを作れば、あとは動画をアップするだけで世界中からあなたの動画を見てもらえる環境が整います。
副業として動画を収益化するためにGoogleアドセンスのアカウント取得を行います。あなたのYouTubeチャンネルが不適切なものでないかを、Googleが審査を行います。審査に通れば晴れてYouTubeでの副業を開始することができます!
銀行口座を作る
Googleアドセンスによって発生した収益を、後日振り込んでもらう銀行口座が1つ必要です。Googleアドセンスでは大手銀行から地方銀行、ネットバンクまでほとんどの銀行に対応しているので、利用しやすいものを登録しておきましょう。
機材を用意する
動画制作に必要な準備をまとめてみました
動画制作に必要なモノ
動画制作に必要なモノは、
最低限としては、これだけです。
もし、動画編集をまったくしないなら、カメラだけで大丈夫です。
カメラ
ベストは一眼レフカメラです。
しかし、まずはスマートフォンやOsmo Pocketなどの持ち運びがお手軽なカメラを使うことをおすすめします。
ネットショップにとって必要以上に高品質の動画を撮る必要はありません。
まず、スマホのカメラ性能が十分に高い。
動画用に新しくカメラを購入する必要はなく、スマホで大丈夫です。
iPhoneで高画質の4K撮影ができるので、何も問題はありません。
二つ目は、動画はスマホ経由で見られる。
動画はテレビやパソコンではなく、スマホで見る人が大半です。
そして、これからスマホを使ってネットショップで購入するお客さんは右肩上がりで増えていきます。
なので、スマホの小さな画面である程度きれいに見れたら十分なのです。
三つめは、動画編集に時間がかかる。
動画ファイルは画質が上がると、急激にファイルのサイズが大きくなります。
そうなると、動画編集の処理に時間がかかるので、制作できる動画の数も少なくなってしまいます。
ブランディング用のかっこいい動画を撮るときは高画質で撮り、商品の紹介やお店の紹介などは必要以上の画質にせず、できるだけ多くの動画を制作することに力を入れるようにしましょう。
パソコン
動画編集は処理が重たいので、パソコンのスペックは良いほうがいいのですが、その分コストも高くなります。
快適に作業出来て、コスパがいいパソコンの選ぶ方についてまとめてみました。
動画編集ソフトはPremiere Proで決まり
いろいろな動画編集ソフトがありますが、やはり一番人気なのが、AdobeのPremiere Proです。
有名なYoutuberやセンスのいい動画を制作されている方のソフトはほとんどこれです。
将来的には、しっかりビジネスとしてやるならAdobeのPremiere Proの一択です。
動画編集ソフトは無料のものもいろいろあり、カットやテロップ挿入はできるので趣味でやるなら無料ソフトで十分です。
しかし、かっこいい効果入れたい、高度な映像表現をしたい場合はやはりAdobeです。
Adobeユーザは多く、やりたいことを検索すると制作方法を解説している動画も多いのもおすすめする理由のひとつです。
こういう映像に編集したいときでも、ネットで編集方法を解説されている方は結構います。
ユーザ数が多いソフトだと、解説動画も多いので、編集ソフトを選ぶならPremiere Proで決まりだと思います。
ただ、価格が結構します。
Adobeの公式ページを見ると、Premiere Pro単体だと月額2,180円/月(税別)です。
もっとかっこいい動画を制作するなら、ビジュアルエフェクトが使えるAfter Effectsも使いたいところです。
After Effects単体だと月額2,180円(税別)になります。
両方契約すると月額4.360円(税別)になります。
その場合、すべての製品、モバイルアプリ、サービスが使えるCreative Cloudコンプリートプランも選択肢になります。
こちらは、月額4,980円(税別)になります。
そうなる場合、年額は6万円を超えてしまいます。
しかし、デジハリオンラインが提供しているAdobeマスター講座が最強です。
Adobe Creative Cloudの基礎をマスターする講座です。
なんど、講座が全3ヶ月ですが、Adobe CC1年分を含んで価格が39,300円(税込)です。
これは、公式で買うより、約半額でAdobe Creative Cloudが使えてしまいます。
動画編集の基礎を勉強できるし、絶対おすすめです。
Youtuberとして、もちろん撮影機材も大事です。多くのYoutuberが利用しているのが、デジタルカメラで動画をとって画像処理ですが、デジタルカメラも安いものでも5万円前後してしまいます。
初心者はデジタルビデオカメラで十分だと思います。画像の質はデジタルカメラには多少劣りますが多くの人がスマートフォン環境で見ていることを考えれば、デジタルビデオカメラでも十分でし、最近ではiphoneなどを利用して撮影しているYouTuberもふえてます。
あとは、必要に応じて三脚やライト、マイクを購入するのをおすすめします。
また、動画の編集ソフトに関してはまずは、無料ソフトを利用することをおすすめします。
視聴者にとって快適で見やすい動画を目指しましょう。
・撮ったものをそのまま投稿するのではなく、なるべく見やすくなるように文字テロップを入れる
・喋り方は聞き取りやすいように、ハッキリ喋る
・余分な再生部分はカット、早送り機能をつけるなどの工夫
・ジャンルはある程度統一させる
・タイトルや説明は分かりやすく
・YouTubeチャンネル登録、関連動画の視聴も促す
YouTube用の動画を作成するソフトを用意しよう
動画作成ソフトには無料版から有料版まで様々なものがあります。動画作成が初めての方やまだ始めて間もない方は、評価の高い無料版ソフトから始めてみるのをおすすめします。無料版と言っても、有料のものに比毛を取らないほど編集機能が高いソフトもありますので、ぜひお気に入りのものを探してみてください。
YouTuberはタレントのような人気商売と思われがちですが、実際に日本でトップクラスのYouTuberには顔出しなしで報酬を稼ぎ続けている人もいます。日本の面白いお菓子を海外に向けて発信したり、ゲームのプレイ画面を流し攻略法を解説し続けるなど、アイデア次第で再生回数アップを目指せるのがYouTubeの魅力です。
再生回数を稼ぐために、日本のYouTuberだけでなく海外の人気YouTuberを参考にしてみるのも良いでしょう。
動画の著作権について理解しておこう!
「著作権」とは、著作者が著作物を排他的に利用することができる権利のことをいいます。
分かりやすく言うと、人が自分の考えや感情などを表現したものを「著作物」といい、その著作物を作った人のことを「著作者」といいます。
そして、著作物が他の人に無断で使用されたり転載されたりしないように、著作者を法的に守ってくれる権利のことを「著作権」といいます。著作権は、著作物を作り出した瞬間に自動的に発生します。
著作権によって守られている著作物にはいろいろなものがありますが、サイトに投稿される動画や画像ももちろん著作物にあたります。
そのため、著作者の許可を得ることなく無断で著作物を利用した場合には、原則として著作権侵害となり、ペナルティを負う可能性があります。著作権侵害をした場合、以下のようなペナルティが科される可能性があります。
YouTuberとして動画をアップロードしなくて、動画の再生回数さえ稼げればお金が入ってくるならテレビ番組を録画してアップロードすれば良いのでは?という考え方は注意が必要です。
テレビ番組のアップロードや、ミュージカルなどの演劇作品を私的に撮影したものを許可なく勝手にアップロードして広告収益を得た場合、著作権者から告訴される可能性があります。
その場合、著作権の侵害は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金となります。
また、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。
YouTubeなどで「動画をアップするだけで簡単に収入が得られます」といった動画があったりしますが、他人の著作権の作品をアップロードして利益を得る行為は、法律に触れます。
もしくは「動画をアップロードするだけで収益が得られるのでそのノウハウを〇万円で購入しませんか?」といった話などは今までの話をまとめた内容ですので、購入はお勧めしません。
ご自身が作成した創作性がある動画をアップロードするようにしましょう。
2 投稿コンテンツの著作権
ユーザーから投稿される動画や画像の著作権は、一体誰に帰属するのでしょうか?
運営側が、ユーザーが投稿した動画や画像などのコンテンツを何かに使いたいと考えたときなどに、どちらに著作権があるのかという点がとても重要なポイントになってきます。
また、著作権に関するトラブルを避けるための予防策はないのでしょうか?
順番にみていきましょう。
(1)著作権者は誰になるのか?
ユーザーが作成・投稿した動画や画像などのコンテンツの著作権は、原則として、そのユーザーに帰属します(著作権者はユーザーということ)。
ですから、運営側がこれらを無断利用すれば、著作権侵害となってしまいます。
そのため、原則、運営側がユーザーが作成・投稿した動画や画像などのコンテンツを何か別のものに二次利用したいと考えたときや、そのユーザーが退会した後もコンテンツの掲載を続けたい場合には、いちいちユーザーの許可をとらなければなりません。
これはとても面倒くさい作業ですし、実際に一人一人と連絡を取っていたら運営側も仕事になりませんよね。
このようなわずらわしさを回避するため、たいていの動画・画像投稿サイトには、「利用規約」というルールブックが置かれています(誰も読まないような長文のあれです。)。
利用規約にはたいてい、以下のような記述があります。
お客様は、本サービス規約に従い本サービス上で本コンテンツを公開するために、かかる本コンテンツに対する一切の特許権、商標権、企業秘密、著作権若しくはその他の財産権についてのライセンスをYouTubeに提供します。
YouTube:利用規約より引用
instagram:利用規約より引用
このような記述をあらかじめ利用規約に仕込んでおくことで、著作権についての面倒くさいやりとりや無用なトラブルを避けることができます。そういった観点からも、利用規約をあらかじめ作っておくことは、非常に有益であるということがいえます。
以上は、一部抜粋という形で利用規約をご紹介しましたが、具体的にどのような内容を盛り込めばいいのでしょうか。次の項目で、どのような利用規約にすればいいのか、その中身についてみていきましょう。
著作権が誰に帰属するのかという点について、以下の3パターンの定め方があります。
- ユーザーから運営側に著作権を譲渡する(譲渡型)
- 著作権そのものはユーザーに残しつつ、運営側にコンテンツの使用許諾を与える(ライセンス型)
- サービス提供のための必要最小限度の改変
以下で順番にみていきましょう。
①ユーザーから運営側に著作権を譲渡する(譲渡型)
これは文字通り、ユーザーに帰属していた著作権を丸ごと運営側に譲り渡してしまうものです。つまり、ユーザーがコンテンツをサイトにアップロードしたのと同時に運営側が新たな著作権者になるということです。
譲渡型の場合、著作権が完全に運営側に帰属することになるので、運営側にとっては「コンテンツを自由に・独占的に使用できる」というメリットがあります。たとえば、アップロードされたコンテンツを削除したり、本などの二次的著作物を作成することが簡単にできます。
一方、ユーザーからすると、自分に帰属していた著作権を完全に失ってしまうため、自分で作ったコンテンツなのに自由に利用できなくなってしまう、ということになります。そのため、ユーザーから反感を買ったり、サービスの利用自体に消極的になる可能性が高いというデメリットがあります。
このように、譲渡型は運営側にとって最も有利な内容になっているため、実際にこのタイプの利用規約を定めたことで炎上してしまったケースもたくさんあります(2014年のUTme!利用規約事件など)。
譲渡型を採用する場合の記載例は以下のようになります。
利用者が、本サービス上に投稿その他の方法で送信したコンテンツ(静止画、動画、文字情報その他一切の情報)に関する著作権(著作権法第21条ないし同第28条に規定する権利を含む全ての著作権を含む。)については、コンテンツの送信時に、当社に対し独占的に譲渡するものとします。
譲渡型を採用する場合には、著作権法27条(翻訳、翻案権)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)についても注意しなければなりません。
この2つの権利についても譲り受けたいのであれば、著作権を譲渡する文言とは別にそのことを明記しておかないと、これらは著作権を譲渡した側(今回の場合はユーザーのこと)に残ったままになってしまいます。
そこで、規約の中に「著作物に関するすべての権利(著作権法第27条および第28条に定める権利を含む)」という記述を入れておく必要があります。
上の記載例では、著作権に含まれるすべての権利を対象にしているという意味で「著作権(著作権法第21条ないし同第28条に規定する権利を含む全ての著作権を含む。)」という書き方をしています。ぜひ参考にしてみてください。
②著作権そのものはユーザーに残しつつ、運営側にコンテンツの使用許諾を与える(ライセンス型)
このタイプは、著作権自体はユーザーに残しておいて使用許諾のみを運営側に与えるというものです。運営側はユーザーから使用許諾を得ていることになるため、コンテンツを自由に使用でき、ユーザーも著作権者として自由にコンテンツを使用できます。
①の譲渡型に比べると、運営側に一方的に有利な内容ではなく、ユーザーとのバランスがとれたものとなっています。
そのため、運営側は譲渡型と同じようにコンテンツの二次利用などができるうえ、ユーザーからの反感を買う可能性は低い、というメリットがあります。
譲渡型との最大の違いは、ライセンス型ではユーザーに著作権が残るため、ユーザーが別の事業者にもそのコンテンツの使用許諾を与えることができるという点です。これにより、たとえば、書籍化しようとしていたコンテンツを他の事業者に先に出版されてしまうということも考えられ、運営側からするとかなりのデメリットとなります。
ライセンス型を採用する場合の利用規約の記載例は以下のようになります。
利用者が、本サービス上に投稿その他の方法で送信したコンテンツ(静止画、動画、文字情報その他一切の情報)に関する著作権(著作権法第21条ないし同第28条に規定する権利を含む全ての著作権を含む。)については利用者に帰属するものとします。ただし、利用者は、コンテンツの送信時に、当社に対し、日本国内外において、当該コンテンツを無償かつ非独占的に使用することを許諾します。
③サービス提供のための必要最小限度の改変
これは、サービスの提供に必要な範囲内でコンテンツの修正をする、というものです。
たとえば、投稿されたブログについて、その一覧を作成するために文章の初めの部分だけ引用したり、ブログ記事内に貼ってある画像をサムネイル化したりするような場合です。
これらの行為は著作物に手を加えるものなので、本来であれば著作権者の許可が必要です。しかし、いちいち許可をとっていたら大変なので、利用規約であらかじめその点について許可を得たものとしておくのです。
この類型では、ユーザーに著作権が残っていて、運営側も特に著作物についての使用権は取得しないため、ユーザーにとっては一番権利が守られるものになります。いいかえれば、最も炎上しにくいパターンです。
このパターンを採用した場合の記載例は以下のようになります。
当社は、利用者が本サービス上に投稿その他の方法で送信したコンテンツ(静止画、動画、文字情報その他一切の情報)について、本サービスの円滑な提供、当社システムの構築・改良メンテナンス等に必要な範囲内で、変更その他の改変を行うことができるものとします。
以上3つの類型について解説しましたが、サービスの内容やユーザーとの関係性などを踏まえたうえで、その利用規約を定める理由・必要性をユーザーに理解してもらえるような内容・表現方法にすることが重要です。
3 投稿コンテンツが違法な場合
ユーザー投稿型のサイトでは、ユーザーから違法なコンテンツが投稿された場合の対処についても考えておかなければなりません。たとえば、ユーザーがテレビ番組の動画をアップロードした場合、それは著作権を侵害する違法動画となります。
以下ではこのような違法コンテンツに対し誰が責任を負うのか、運営側はどのように対応すればいいのかなどを詳しく解説していきます。
(1)誰が責任を負うのか?
ユーザーが違法なコンテンツを投稿した場合、その責任は原則としてユーザーが負います。
ただし、運営側も一定の場合には法的な責任を問われることがあります。たとえば、違法コンテンツはアクセスを集めやすいため、運営側がそれを利用する目的であえてコンテンツを削除せず、利益を得ているような場合があります。また、違法コンテンツによって権利侵害された被害者が運営側にそのコンテンツの削除要求をしたにもかかわらず、運営側がこれを拒否し続け、権利侵害状態が続いてしまう場合もあります。
このようなケースでは、運営側は関係ないということは言えないため、法的な責任を負わなければなりません。実際の裁判例でも、似たようなケースで運営側に損害賠償責任を認めたものがあります。
(2)運営側が免責される場合
それでは、同様のケースにおいて、運営側が免責されるのはどのような場合でしょうか?順番にみていきましょう。
違法コンテンツがアップロードされていたとしても、サイトの規模が大きければ大きいほど、投稿されたコンテンツをすべてチェックすることは難しいですよね。そのため、あまりにも厳しい責任を負わせてしまうと、かえってwebサービス上での情報交換の妨げになってしまいます。
そこで、サイト運営者などは、「プロバイダ責任制限法」によってその責任がある程度軽くなっています。
「プロバイダ責任制限法」とは、情報を自由にやり取りできるネット社会により招かれた名誉毀損や著作権侵害、プライバシー権侵害などのトラブルについて、プロバイダやサイトの運営者などに課される損害賠償責任を軽くする法律です。
プロバイダ責任制限法により、違法コンテンツ(名誉毀損や著作権侵害など)の投稿に対する運営側の責任は原則として免責(=責任を負わなくて済むこと)されます。ただし、つぎのいずれかの場合には損害賠償の責任を負わなければなりません。
- 他人の権利が侵害されていることを知っていたとき
- 情報の流出を認識していて、それによる権利侵害を知ることができたと認められるとき
プロバイダ責任制限法についてはガイドラインがありますので、こちらもご覧ください。
プロバイダ責任制限法ガイドライン(著作権関係)
運営側が免責されるもう一つのパターンとして、あらかじめ利用規約に明記しておく方法があります。免責条項を追加しておくことによって、運営側は、原則として損害賠償責任を負わずにすみます。
免責条項の記載例は以下のようになります。
1 他の利用者または第三者から投稿についての削除依頼があった時、当社の判断で削除の可否を決定できるものとし、当該判断により生じた一切の責任について、当社は責任を負わないものとします。
2 本サービスで他の利用者が投稿した情報の正確性について、当社は保証しません。当社は、本サービスに掲載されている情報についての紛争及びトラブルについて一切の責任を負いません。
ただし、免責規定を設けさえすればいかなる場合も運営側が免責されるというわけではありません。
消費者保護法により、
- 運営者の損害賠償責任をすべて免除する条項
- 運営者に故意(わざと)・重過失(ありえないミス)がある場合にまで、責任を免除する条項
については無効となりますので、この範囲を超えないように免責内容を決める必要があります。
(3)削除・アカウント停止などの措置
違法コンテンツが投稿されていると気づいた場合や、権利侵害されていると気づいた被害者からの削除要請があった場合、運営側としてはまずそのコンテンツの削除を検討するのが通例だと思います。また、悪質なユーザーの場合には「アカウントの停止」もとても有効な手段といえます。
もっとも、表現の自由との関係でその削除要件は判断が難しく、投稿されたコンテンツをむやみやたらに削除してしまうと、投稿したユーザーに対して損害賠償の責任を負わなければならない場合もあります。
アカウントの停止についても、その基準を示さずにいきなり停止措置をとった場合、こちらも損害賠償の責任を負わなければならない可能性があります。
このような事態を避けるためにも、利用規約にあらかじめ禁止事項を定めておき、違反行為が見つかった場合の対応措置を示しておくことをお勧めします。
これによって、違法性の高いコンテンツが確認された場合でも、運営側の判断でスムーズにコンテンツの削除やアカウント停止の措置がとれるようになります。
利用規約の記載例は以下のようになります。
本サービスの利用に際し、当社は、利用者(以下「利用者」)に対し、次に掲げる行為を禁止します。当社において、利用者が禁止事項に違反したと認めた場合、利用停止、投稿削除等、当社において必要と判断した措置を取ることができるものとし、利用者はこれを異議なく同意するものとします。
(1)当社または第三者の知的財産権を侵害する行為
(2)当社または第三者の名誉・信用を毀損または不当に差別もしくは誹謗中傷する行為
(3)当社または第三者の財産を侵害する行為、または侵害する恐れのある行為
(4)当社または第三者に経済的損害を与える行為
(5)当社または第三者に対する脅迫的な行為
(6)利用者が、以下の情報を投稿すること
①第三者の権利および財産に対して損害を与えるリスクのある情報
②第三者に対して有害な情報、第三者を身体的・心理的に傷つける情報
③犯罪や不法行為、危険行為に属する情報およびそれらを教唆、幇助する情報
④不法、有害、脅迫、虐待、人種差別、中傷、名誉棄損、侮辱、ハラスメント、扇動、不快を与えることを意図し、もしくはそのような結果を生じさせる恐れのある内容をもつ情報
⑤事実に反する、または存在しないと分かっている情報
⑥利用者自身がコントロール可能な権利を持たない情報
⑦第三者の著作権を含む知的財産権やその他の財産権を侵害する情報、公共の利益または個人の権利を侵害する情報
⑧わいせつ、児童ポルノまたは児童虐待にあたる画像、文書等の情報
⑨医師法などの法令に違反する情報
⑩その他当社が不適切と判断する情報
(7)コンピューターウィルス、有害なプログラムを仕様またはそれを誘発する行為
(8)本サービス用インフラ設備に対して過度な負担となるストレスをかける行為
(9)当サイトのサーバーやシステム、セキュリティへの攻撃
(10)当社提供のインターフェース以外の方法で当社サービスにアクセスを試みる行為
(11)一人の利用者が、複数の利用者IDを取得する行為
(12)上記の他、当社が不適切と判断する行為
【個人相談・コメント受付中】